“ruins” -波部圭亮- (S)
【Product】
ruins
【No.】
S
波部氏の作品は、作品だけが長い時を経てきたかのような、不思議な印象を与えます。
この経年変化の表現は、もともとは大学卒業後に作風を模索する中で実験的に取組みだしたもの。しかし、ルーツはそれより前に遡ります。
「幼い頃から、コケや石のように、現在の形に至るまでの時の流れや物語を空想できるものに、強く心惹かれてきました。経年し苔生した仏像や青銅器の表面に生成される緑青(ろくしょう)なんて、たまらないですね。この色が付くまでにどんな出来事があったんだろう、と想像するのが楽しいんです」
作品の独特な色合いや陶肌は複数種の釉薬を重ね、何度もの焼成を経て完成されます。
「正直、発色や表面の剥がれなど、自分で完璧にコントロールできる表現は少ないです。焼き上がってみないとわからない。通常の経年変化と同じように、できるだけ土や火の力に任せようと思っています」
自然が持つ力にゆだねつつ、随所に施した金彩や染付が、経年変化の独特な表情をより一層際立たせます。
波部氏との打ち合わせでは先ず初めに「余白」の幅を共有させて頂きました。
制約にある程度の幅を持たせ、その中で自由度ギリギリのクリエイションを楽しんでもらうことが結果的に最良だと考えたからです。そしてその考えは間違っていませんでした。
汎用性、実用性は一旦度外視して頂き、純粋にそのクリエイティブを楽しんで頂けると幸いです。
【注意点】
一点一点作家自らが手作業でデザインを施している為、全く同じテクスチャーは存在しません。単純な量産作業の概念の下の製作ではなく、単一品番ですが一点一点作家の感性の赴くままに表現しているからです。予めご了承頂ければ幸いです。また上記に付随し、窯入れのタイミングや諸々の事象により肌質・色味・濃淡にムラが出ることが御座いますが、そちらも併せてご了承頂ければ幸いです。
単一品番ですが個体差のある作品です。ご購入の際のご指定はお受け出来ません。予めご了承頂ければ幸いです。
【size】
口径 : 12,5cm×12cm
高さ : 9cm
【作陶者】
波部圭亮 (Keisuke Habe)
1988年東京生まれ。
2013年多摩美術大学大学院修了。
2018年茨城県立笠間陶芸大学校卒業。
2019年「第8回菊池ビエンナーレ」に入選。
現在は、東京都豊島区にて制作。
新進気鋭の陶芸家として躍進を続けていますが、たった数年前までは陶芸とは無縁の毎日を送っていました。大学で家具や住宅・都市計画などの空間デザインを学んだ後、就職したのはデザイン事務所です。
「公共空間や店舗など規模の大きいもののデザインに携わっていたのですが、複数人で手掛けるがゆえに細部までこだわれず、もどかしさを感じていました。そんな時、デザイナーとしての幅を広げようと陶芸教室に通い始めたんです。初めて触った土の感触、自分の手の中で作品を完結できる喜びに魅了され、3カ月後には笠間陶芸大学校を受験していました」
そこから陶芸漬けの毎日が始まります。学べば学ぶほどそれまでの『陶芸=食器』というイメージが大きく変化していきます。
「形状や釉薬の組み合わせを変えれば、無限の表現を生み出せることに衝撃を受けました。とはいえ、最後は窯に任せるしかない。それもまた陶芸の魅力です。焼成が完了するまでは何が起こるかわからないので、窯を開ける瞬間は今でも毎回ワクワクします」
『時間とは何かを、突き詰める』
現代から未来へ、新しいのに古い、時間という概念を独自の視点でとらえてきた波部氏。今後は世界へ向けた表現も視野に入れています。
「今は時間の流れを想起させる作品に取り組んでいますが、動きの中の瞬間を切り取るなど、時間という概念をより多角的にとらえられたら、作品の幅がもっと広がると思っています」
千年後を生きる人たちは、作品を前に一体どんな想像をふくらませるのか。
波部氏の作品で、壮大な時間が紡ぐ物語に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
-official Instagram-
https://www.instagram.com/habekeisuke/?hl=ja
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